やまがたの若者向け地域活動情報紙WA-CHA   第6号

特集「地域を楽しむ、活動でつながる」(2)学生団体おでこBASE

自分らしく在れる 遊佐駅前の秘密基地

学生団体おでこBASE

庄内地域を見守る鳥海山の麓、遊佐町。人口約1万2千人のこの町に、活気あふれる若者の〝秘密基地〟があります。運営するのは、学生団体おでこBASE。代表の安藤希祥さんにお話をお聴きしました。

 

おでこBASEとは?

 おでこBASEは、令和6年3月から、中高生の居場所を運営している学生団体です。学校帰りにちょっと集まれてゆっくりできる場所とか、地域の大人とゆるく話ができるような空間をイメージしています。何かをしなきゃいけないということもないし、利用料もありません。
 今は週3回、夕方の16時から18時まで開けていますが、多い時には20人から25人くらい来る時もあります。ここにいると、地域の方々からイベントのお誘いなどもあるので、そういうことに興味がある中高生とのマッチングができて、地域に出ていく拠点にもなっています。

おでこBASEを作るまで

学生団体おでこBASE 私は名古屋市出身で、令和2年に遊佐高校に入学しました。卒業後は東北公益文科大学に進学し、現在3年生です。
 もともと私はすごく消極的なタイプで、本当に元気がなくて勉強もしないという感じでした。今は「?でしょ」と言われますが、本当です(笑)。何に対しても魅力を感じなかったんですね。人のやさしさを感じる機会も少なかったですし、何かしたいと思ってもなかなか難しく、ルールに縛られてしまうのが面倒くさかったのかもしれません。
 高校進学を考える時期に、さすがに心配した家族が、学校からもらってきた地域みらい留学説明会の案内を偶然見つけて「これいいんじゃない?」と。それで、説明会に連れていかれました。
 説明を受けてみると、意外と魅力を感じちゃったんですよね。自分が全く触れてこなかったまちづくりとか、自然とか。決め手は遊佐高校の寮がWi‐Fi・個室完備ということでした。それで、地域みらい留学制度一期生として入学しました。
 遊佐高校の寮では地域おこし協力隊の人と一緒に3年間過ごしたのですが、その人が生活を学びに変えてくれました。自分がすることを面白がってくれたり、失敗や挫折を笑って人に話せる状態にしてくれたり。すごく心を満たされたんです。その人と過ごした寮生活が、おでこBASEの原体験になったと思います。
 ある時、「若者にとって遊佐町の足りないものはなんだろう」ということを考える会議があったのですが、その中で「居場所が足りない」とか「滞在する場所がない」という声がありました。それを受けて「居場所づくりをしよう」という話になりました。それが「おでこBASE」の始まりです。

WA-CHA 6号

 

大雨災害ボランティア

WA-CHA 6号 おでこBASEの居場所づくりが始まって4か月が経った頃、記録的な大雨災害がありました。その時、友人の家が被災して肩の高さまで浸水し、車も家具・家電も全滅という状態になりました。心配になって知人と現地に行ったら、もう想像以上でとてもショックを受けたんです。自分に何かできないかなと思って、県外の学生にも声をかけて数人で行ったのがボランティアの始まりです。
 すると「一緒に活動したい」という学生がたくさん出てきて、ボランティア保険に加入して活動するようになりました。活動用のLINEグループには最大88人が登録し、活動人数は十日間で延べ三〇〇人になりました。
 被災された人は呆然というか、何から始めたらいいのかわからないという感じで、どんよりとした空気だったんですが、高校生が明るくお手伝いをして被災された方とコミュニケーションをとると、少しずつその場の雰囲気も明るくなっていったような気がします。

本気で向き合ってくれる大人がいる

 遊佐町には、いい意味でムカつかせてくれる大人の存在があります。何でも応援してくれて「いいね」と肯定から入ってくれるけど、心の中にモヤモヤがある時は正面から向き合って対話をしてくれます。「気にしてるでしょ」なんて言われると腹が立ちますが、図星でしかないから自分で向き合わなきゃいけないと気づかせてくれるんです。高校生活には、そういう「ムカつかせてくれる大人」が必要です。
 チャレンジと失敗と成長。そういう機会を生む場所として、おでこBASEがいい意味で訪れた方々に刺激を与えられたらと思っています。
 私は今大学3年生ですが、卒業してもここで居場所づくりに関わり続けたいと思っています。

WA-CHA 6号
「若者がつなぐ・つながる地域おこし推進事業」とコラボして、商店街イベントに共催として携わりました。

これから何かをしたい人へ

 あまり偉そうなことは言えないですが、「やってみたいと思ったらすぐにやった方がいい」と思います。私もこの活動をしてみて、独自収益は難しいとか、人口減少の抑制に役立っているのかわからないとか課題がありますが、それも結局「やってみないとわからない」ことでした。とにかくやってみて、仲間を増やしていくことが大事だなと思います。私もそのようなチャレンジを応援できるような人になりたいと思っています。
 そして、ぜひおでこBASEへ来てください。一緒にお話しましょう。

参加者から一言!

WA-CHA 6号横浜市出身 遊佐高校1年 メイさん(左)

遊佐町は最初のイメージ通り自然が豊かで、いろんな所に湧水や川があって、めっちゃ気に入ってます。それに、やりたいことを全力で応援してくれる人、優しい人が多いです。おでこBASEは、他愛もない話とか学校の様子とかを話せる「第三の居場所」です!

遊佐町出身 遊佐高校1年 ルナさん(右)

おでこBASEは部活の活動で使っていますが、学校とは違う友だちの一面を知ることができたり、先輩との距離を縮められたり、県外から来た人と出会えたりして、すごく楽しいです。もう住みたいくらい好きです!

 

WA-CHA 6号

学生団体おでこBASE
代表:安藤希祥
所在地:山形県飽海郡遊佐町遊佐字石田32-1
運営日:週3回16:00~18:00(不定休)
https://odecobase.hp.peraichi.com/top/
https://www.instagram.com/odeco_base


やまがたの若者向け地域活動情報誌「WA-CHA」vol.6
2025年11月 若者支援コンシェルジュ事務局発行
記事番号:29338

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