山形の若者の活躍や山形の魅力を発信する「やまがた若者応援大使」が、県内でチャレンジする若者を紹介します。
今回は、「GLAMPiCの芳賀温子さん」が、山形市でグラッフィックデザイナーとして活躍されている、「河野めぐみさん」にインタビューしてくださいました。
【取材者 芳賀温子さん】

―まず、これまでどちらでどんなお仕事をされてきたんですか?
出身は大阪で、デザイン事務所に勤めていました。その後、異動をきっかけに東京で働くようになり、独立してフリーランスになりました。フリーランスになってからは11年くらいになります。
もともと田舎が好きで、昔から地方で暮らすことには憧れがありました。旅行も好きで、いろいろな地域の食文化やお祭りを見るのも好きなんです。
東京にいた頃から地方の仕事をすることもあったんですが、外から単発で関わるだけじゃなくて、「一つの土地に実際に入りながら仕事をしてみたい」という気持ちがだんだん強くなっていきました。
ー山形に移住したきっかけは何だったんですか?
移住を考え始めたのはコロナ禍ですね。
最初は移住先として、神奈川県の大磯なども見ていました。古民家だったり、庭がある家だったり、自然が近い場所に興味があって。
そんな中、山形ビエンナーレが開催されている時期に山形に来る機会がありました。
街中に展示があって、それを見ながら図書館やカフェを巡ったりしていたんですが、「山形って文化的なものが身近にある街なんだな」と感じたんです。
滞在中に何となく物件を調べてみたら、気になる物件が出てきて、「ここなら暮らしやすそう」と思ったのがきっかけですね。
令和4年頃から山形で暮らしていて、今年で4年目になります。
ーデザインのアイデアはどんなところから受けていますか?
街を歩いている時とか、旅行に行った時が多いですね。
家にずっといるのは結構ストレスなんです(笑)。
同じ場所にずっといると変化がなく、むしろ仕事が捗らないことが多いので、長距離バスに乗りながら仕事をしたりしたこともあります。
特にタイポグラフィーが好きなので、街の看板とか文字はよく見ています。
村山を歩いていた時も、お店の看板がすごく素敵だなと思って。
地域のお店一軒一軒に許可をもらって、キーホルダーにしてみたこともあります。

アイデアが全然浮かばない時は、一度寝かせます。
街に出たり、別のことをしたりして、何日か経ってからもう一回ファイルを開くと、アイデアが浮かんでくることも多いですね。
ーデザインをする上で大切にしていることはありますか?
わくわくするか、ということですかね。
私が受ける仕事はPOPなイメージのものや、イベント関係の依頼が多いので、絵やレイアウトを見た時に「楽しそう」と思ってもらえるかどうか、を大切にしています。
本当はもっとおしゃれなデザインも作りたいんですけど(笑)。
依頼される仕事の内容にもよりますが、自然と楽しい雰囲気のものが多くなっていますね。
ーこれまでの作品で、特に印象に残っているものはありますか?
飽き性なこともあり、昔の作品に執着することがなく、「これが一番!」と言うのは難しいんですけど(笑)。企画の段階から携わらせてもらったさぬきうどん英才教育キットは印象に残っていますね。パッケージ自体が絵本のようになっていて、五感を使いながらうどんを作れる仕様になっているものです。

あとは、フリーランスになって最初の頃に作った「シェアフルーツ」という果物のパッケージは印象に残っています。

若い人にも、もっと果物に興味を持ってもらいたいという企画だったので、桃が3つ入ったパッケージを、ただ3個入りの商品にするんじゃなくて、一つずつ切り離して誰かにギフトのように渡せるようにしたんです。
パッケージをただ包むものではなくて、人と人をつなぐコミュニケーションツールにできないかなと考えました。
その仕事はグッドデザイン賞もいただきました。
デザインの仕事で少しでも、大変な状況下の農家さんの助けだったり、社会に何か良い影響を与えられたりしたらいいなと思っています。
ー小さい頃はどんな子でした?
小さい頃から絵を描いたり、ものを作ったりすることが好きで、小学6年生くらいの時には「イラストレーターとか漫画家になりたい」と思っていました。
なので、今の仕事につながるようなことは昔から好きだったんだと思います。
ーこどもの想像力を伸ばすために大事だと思うことはありますか?
とにかく褒めることじゃないですかね。
私の親は、私が何かを作った時によく「天才!」と過剰なくらい褒めてくれました(笑)。
「デザインの仕事をしたい」と言ったときも、「そうした方がいいと思う!」と背中を押してくれて。
こどもの頃の「やってみたい」とか「作りたい」という気持ちは、大事にしてあげると良いんじゃないですかね。
ー最近はAIでもデザインやイラストが作れるようになっていますが、その点についてどう思いますか?
私はそんなに不安はないです。
AIのデザインで満足できる人は、それでいいんじゃないかと思います。
でも、もっとこだわりたい人や、「この人だからお願いしたい」と思ってくれる人もいると思うんです。
今のところAIでは、個性的なデザインやイラストはまだありませんが、私なら、デザインに唯一無二の個性や、その人ならではの価値を吹き込むことができます。
個性や背景、その時のデザインの流行をちゃんと掴めれば、AIが脅威にはなることはないですね。

農園まってる
地元のお店と一緒に、その場所が変化していくところを見られるのは、地方に暮らしながら仕事をする良さだと思います。
ー山形での暮らしで好きなところはありますか?
自然が身近なところですね。
冬に雪の中を歩いていると、ウサギとかキツネの足跡を見つけたりするんです。
そういう野生動物の気配がすぐ近くにあるのは面白いですね。
普段は自転車で移動するので、自動車では気付かないものを見つけることもあります。
ー今後やってみたいことはありますか。
デザイナーとしては20年くらい、フリーランスとしても10年くらいやってきたので、そろそろ自分の中で転換期なのかなと思っています。
今までは「依頼されてデザインする」という仕事が中心でした。
でも最近は、循環型の農業や環境に負荷の少ない暮らしに興味があります。
庭付きの家で畑をやったり、コンポストをやったり、自分で肥料を作ったり。
陶芸もやりたいし、ご飯を作ったり、そのご飯を食べる器を作ったりすることにも興味があります。
一見デザインとは全然違うように見えるんですけど、自分の中では全部「ものづくり」なんです。
パソコンを使って作るのもものづくりだし、身体を使って畑や器を作るのもものづくり。
これからはそういうことも勉強して、ステップアップしたいですね。
ーずっと山形で暮らしていきたいという気持ちはありますか?
山形は好きですが、いろいろな地域を見てみたい気持ちもあります。
一つの場所にずっといるというより、遊牧民みたいにいろいろな土地で暮らしてみるのも面白そうだなと思っています。
場所が変わると、見えるものも変わるし、それがまた自分の刺激になると思うので。
ー最後に、これからデザイナーを目指したい人に一言お願いします!
「自分にはセンスがないから」と言う人って結構多いんです。
でも、私も最初からセンスがあったわけではないです。
一番大事なのは、「こういうものを作りたい」という気持ちだと思います。
あとは好奇心を持って、いろんなことにチャレンジして、それを続けること。
技術は後からついてきます。
だから、センスがあるかないかを最初から気にせず、とにかくいろんなものを見て、やってみてほしいですね。
今回、河野さんのお話を聞いていて印象的だったのが、「暮らし」と「デザイン」が一体化していることでした。
街を歩いて見つけた看板がアイディアになったり、旅先の食文化やお祭りから刺激を受けたり、地域のお店のデザインをしながら、そのお店や街が変わっていく様子を見ていたり。
河野さんにとって、日々の暮らしそのものがデザインにつながっているんだなと感じました。
そしてこれまで長くデザインの仕事をしてきた河野さんが、これからは畑やコンポスト、陶芸、料理など身体を使ったものづくりにも興味を広げていることもとても興味深かったです。
私もいろいろなものをつくるのが好きなので、「PCを使ったものづくりも、畑や器を作ることも、自分の中では同じものづくり」という考え方は、共感する部分があります。
また、「AIが発展しても、脅威ではない。」と言い切れる河野さんがとてもプロフェッショナルでかっこいいなと思いました。私もそんな自信と誇りを持って仕事に向き合っていきたいと思いました。
山形の土地を楽しみながらも、一つの場所だけに捉われず、これからもいろいろな土地やものづくりに触れていこうとしている河野さん。私も一つのことに捉われず、いろんなことをやってみたいタイプなので、今後の河野さんの、デザインだけでなく、畑や器、循環する暮らしなど、河野さんの「ものづくり」がどんなふうに広がっていくのかとても楽しみです!










