山形の若者の活躍や山形の魅力を発信する「やまがた若者応援大使」が、県内でチャレンジする若者を紹介します。
今回は「民泊工房FUu~の大山芙由美さん」が、村山市でRabbit village Coffee.を経営する結城さんにインタビューしてくださいました。
【取材者 大山芙由美さん】
暮らしの中に仕事がある‐コーヒーとビールで、人と人をつなぐ‐
今回お話を伺ったのは、村山市でコーヒーの焙煎とクラフトビールづくりを手がける結城さん。
丁寧な手仕事の合間には、常連さんとの穏やかな会話や、思いがけない“ポポー”の差し入れも。
「暮らしを優先する」という彼の言葉には、働き方だけでなく、生き方そのものへのヒントが詰まっていました。

―今日はありがとうございます。まず、今どんなことをされているのか教えてください。
今はコーヒーの焙煎と販売、それからクラフトビールの醸造をしています。コーヒーはトレーラーで移動販売をしていて、マルシェやイベントなどいろんな場所に出店しています。ビールは「HAKUTO BREWING」というマイクロブルワリー(小規模なビール醸造所)を立ち上げて、地元・村山市の素材を使ったオリジナルビールを醸造しています。
―コーヒーとビール、どっちも“つくる”仕事なんですね。この仕事を始めたきっかけを教えてください
もともとは市役所に勤めていました。安定した仕事でしたけど、どこかでずっと「自分で作ったものを誰かに届けたい」と思ってたんです。仕事を続けながら趣味で焙煎を始めて、生豆を手網で煎ってみたら…その奥深さにハマっちゃって。本格的な焙煎機を買ってしまったのがきっかけでしたね(笑)。

―そこから独立されたんですね。
はい。周りにはけっこう驚かれましたけど、「やらない後悔より、やって後悔」かなと。ちょうどコロナの時期で、固定店舗より自由に動ける移動販売を選びました。出店先でいろんな人に出会えるのが楽しいんです。
(ここで、お店に常連さんが来店。)
結城さん:あ、こんにちは!今日は寒いですね〜。
お客さん:ホットください。あ、これ庭で採れたポポーなんですけど、よかったらどうぞ。
─ありがとうございます!(笑)気づけば私までポポーという珍しい果物をいただいてしまいました。
(店内にゆるやかな笑い声が広がり、コーヒーの香りと一緒にあたたかい空気が漂う。そんな雰囲気の中で、取材を続けました。)
―ビールづくりにも挑戦されているそうですね。
そうなんです。コーヒーと同じで、素材から作る工程にすごく惹かれて。令和7年の3月にブルワリーも始めて、今は5種類のビールを醸造しています。地元の米やそば、バラなどを使っています。醸造器具の洗浄など地味な作業も多いんですが、手をかけた分だけ味に出る。お客さんが「おいしい」って笑ってくれる瞬間が一番うれしいです。

後ろはビール醸造設備
―仕事をする上で大事にしていることはなんですか?
うーん、ひとことで言うと「暮らしを優先する」ことかな。以前は“仕事中心”の生活だったんですけど、今は“生活の中に仕事がある”感覚です。家族との時間や、季節の変化を感じる時間を大切にしたい。
だから、売上を追うよりも「無理せず続けていけるペース」を選ぶようにしています。焦ると、コーヒーの味にも表れる気がするんですよ。穏やかな気持ちで焙煎したときほど、香りもやさしいんです。
―いいですね。そういう優先順位にたどり着いたきっかけはありますか?
役所を辞めたとき、正直、不安もあったんです。でも、やってみたら「好きなことを仕事にする」って、生活全体を変える力があるなと思いました。
こどもが学校から帰ってくる時間に合わせて仕事を切り上げたり、天気がいい日は早めに片づけて散歩したり。そんなふうに、“仕事に自分を合わせる”んじゃなくて、“自分に仕事を合わせる”ようになった。
コーヒーもビールも、「人が笑顔になる瞬間をつくる」ための手段。仕事の目的って、結局そこに尽きる気がします。
―確かに、今のお話を聞いていると、仕事というより“生き方”に近いですね。
そうかもしれません。だから“何のために働いているか”と聞かれたら、「自分と、まわりの人が心地よく生きるため」って答えます。お金も大事ですけど、それよりも、自分が納得して笑顔でいられることのほうが大事。
僕にとって仕事は、「誰かとつながるための言葉」みたいなものなんですよ。コーヒーやビールを通して会話が生まれたり、新しい縁ができたり。その瞬間が一番楽しいです。
―これから挑戦したいことは?
もっと地域の素材を活かした商品を作っていきたいです。村山の魅力を香りや味で伝えたいですね。あと、コーヒーやビールを通して“人がつながる場”を作っていきたい。飲み物って、誰かと話したり笑ったりするきっかけになるじゃないですか。そういう時間をこれからも届けていけたらいいなと思っています。

取材中、常連さんとのやりとりに混ざって笑ったり、ポポーをいただいたり。結城さんの店は“おいしいもの”だけじゃなく、“あたたかい空気”が流れている場所でした。
「暮らしを優先する」という言葉通り自然体で前に進んでいる、その姿が印象的でした。結城さんの作る一杯には美味しいだけでなく、人の心をほぐす力がある——そう感じました。










