山形市の南山形地区にある『コドモのミカタ』は、発達の気になる子どもを支援する施設です。
開業は2024年で、代表の作業療法士の難波 知晶さんは、当時26歳でした。
なぜ子どもたちの味方になろうと思ったのか、どんな支援や活動を行っているのか……みなさん、気になりませんか?
今回はそのきっかけや思い、活動内容を取材しました!

難波さんは、大学を卒業後、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所へ入社し、作業療法士として働き始めます。同事業所を退職後、『コドモのミカタ』を開業されました。発達が気になる子どもに対し、個別にセッションや相談対応などの支援を行うほか、地域食堂も開催しています。
作業療法士ってなに?
まずは、そもそも作業療法士とはどんなお仕事なのか、伺いました。
作業療法士は、身体や精神に障害がある人に対し、その人らしい生活が送れるようサポートをするお仕事です。生まれたての赤ちゃんから高齢者まで、幅広い世代の方が対象であること、分野が広いことが特徴。「人として生きること、その人らしく生きられることを大切にしているのが作業療法士の仕事」だと難波さんは考えているそうです。
難波さんが作業療法士を目指すきっかけになったのは、作業療法士の仕事が最後まで人に寄り添って、人のために全力で働けると思ったこと。難波さんの根底には「人のために働きたい」という想いがあります。
そして、とても印象的なエピソードを語ってくださいました。
特に子どもを専門にしたいと思ったのは、大学時代に出会った1人のお子さんがきっかけです。
当時6才のお子さんと実習先で出会いました。その子は、出会った当初、全く動けず、笑うことさえなく無表情。何をするにもされるがままで、自分の中の「子どもらしさ」の概念が崩れました。その子の人生にどう関わっていったらいいのか、とても悩みました。遊びの内容を自分なりに考え関わっていくうちに、子どもらしさが少しずつ戻ってきて、その子の人生の一部になれたような気がして嬉しかったです。しかし、関わりをもって1ヵ月ほどで亡くなられました。それまで、子どもは希望に満ち溢れた存在だと思っていましたが、そうでもない子もいる、そんな子どもたちのために、これから私が関わる子どもたちには「人として生きてもらいたい」と強く思ったんです。

コドモのミカタ
大学を卒業後、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所へ入社し、子どもたちのために奮闘。そして2024年、『コドモのミカタ』を開業しました。『コドモのミカタ』では、発達が気になるお子さんを全面的に対応しているそうです。
「医療的な制度以外の場所で、お子さんの自分らしさや発達領域を伸ばしたり、支援したいという要望があれば、ニーズに万能にこたえられる」ことが難波さんの強み。そして、放課後等デイサービスなどの事業所からのニーズもあるのだそう。事業所を通すことで、より多くの子どもたちに関われる機会が増えると考えているそうです。
Q. 『コドモのミカタ』を開業されるきっかけは何だったのでしょう?
「最後まで関わりたい」という本来自分がやりたいことは組織に属していると難しいことに気づき、独立を考えました。やはり組織の中では、現状の制度の範囲内での支援となってしまうからです。周りからは「できるわけない」と言われましたが、「やってみないとわからない!」というのが自分のモットーです。自分を必要としてくれているお子さんやご家庭にサービスを届けたいという強い思いがあったので、『コドモのミカタ』を開業しました。

Q. 個別セッションにはどのような方が通っているのでしょうか?
個別セッションを受けられる方の特徴は、現状の制度から取りこぼされたお子さんが多く、医療機関や療育機関では対応を行っていない範囲、例えば高校受験の合理的配慮などで学校と連携を取らなければならないお子さんなどです。現在、ICT機器を利用した受験を行っている高校はありません。なので、県議会議員の方や団体などと連携して、教育委員会と話し合ったりしています。こういった現在の制度上では助けが難しい部分にも介入しています。利用される方は、もちろん医療機関や療育機関も使われていますが、追加で『コドモのミカタ』を利用したいというお子さんへの愛が強いご家庭ばかりです。
Q. 今後はどのようにしていきたいと考えていますか?
医療・福祉・学校・行政の間の隙間を埋めるのも自分の役割かなと思っています。なので、医療・福祉・学校・行政・地域を繋げられる、みんなから信頼される作業療法士を目指したいです。また、子ども、ご家庭、関わっている人の一番の味方になることが目標。一人ひとりお子さんの特性を素敵な個性として見れるように、お子さんに関わる全ての人をサポートできるようになりたいですね。
いろんな支援ができるということを知らない人もたくさんいると思います。今後は学校にもアプローチして、学校で介入することが難しいことも、「一緒に考えられる人がここにいますよ」というのも伝えていきたいです。
地域食堂「南山形みんなの広場」
難波さんは2年前から、母親とともに、月1回のペースで地域食堂「南山形みんなの広場」を開催しています。
地域との繋がりが希薄になっていると感じていた時に、母親から地域食堂をやらないかとの誘いを受け「絶対やりたい!」と思ったのが始めたきっかけだそうです。
最近では、100名近くの方が訪れます。地域の民生員や居場所を探している人、大学や高校の学生がボランティアで参加する大所帯!
企画から運営まで大変なことも多そうですが、こちらも難波さんのあたたかな想いがありました。
Q. 地域食堂で大切にされていることは何かありますか?
みんなの居場所というところを大切にしています。学校でも医療機関でもないので、準備や片付けなど自分でできることは自分でやる、それ以外は自由です。
食べるだけという地域食堂ではありません。子どもたちは全力で遊びたい。だから、うどんやクッキー、ケーキなど食べるものを一緒に作ります。
一番嬉しいのは、学校で友達同士誘い合って来てくれること。予約制ではありますが、予約がなくても絶対に断らないようにしています。来てくれることがとても嬉しいし、子どもらしさを見られるのが何より嬉しいです。どんなに大変でも頑張ろうという気持ちになります。
地域食堂を行っていて印象的なエピソードがあります。地域食堂の活動の中で、1人の不登校の子に出会いました。はじめはぶっきらぼうだったその子が毎回のように来てくれるようになって、「おいしかったです」など感想を伝えてくれるようになりました。そうしているうちに学校へ通えるようになったんです。どうして登校しようと思ったのかたずねてみると「地域食堂へ行っていたら、なんとなく行けるような気がした」と話してくれました。地域食堂で自信をつけて、学校へ通えるようになったんだと思うと、とても嬉しいです。


Q. 人との関わりの良さがわかる場所なんですね。たくさんの方がいらっしゃるようですが、参加費などはいくらなのでしょうか?
全部、無料です。材料費もポケットマネーで支払っていましたが、昨年は補助金を利用しました。何千人の参加者になろうと料金は絶対に取らないと決めています。母のポリシーが「全部無料」なので、私もそれを大切にしています。
Q. 全部無料はすごいですね!南山形地区だけでは収まらないような気がしてきました。
そうですね。今も高畠や寒河江、東根、天童、山辺あたりからも来てくれています。対象地域はなく、広ければ広いほど楽しいと思っていますし、来てくれる人たちの何かしらのきっかけになったらいいなと思ってます。
さいごに
満開の笑顔の奥には、優しさと頼もしさがありました。
子どもたちの支援に関しては、現状の制度では、どうしても隙間ができてしまいます。その隙間に取りこぼされてしまう子どもたち。そんな子どもたちのこともどうにかしたい!という熱い想いがお話から伝わってきました。
『コドモのミカタ』だけに収まらず、人との繋がりを大切にされていることがとても印象に残っています。どんな人でも受け入れる懐の深さを感じられるインタビューでした。今後の活躍もとても楽しみです!
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取材執筆:たぴこ


















